逃げられない1
鉄のさびたようなにおいと耐えがたい重い空気・・
その中で静かに私は目を覚ました・・
意識が朦朧とする中、私はこの部屋を見渡してみた。
すごい・・
部屋全体が錆のようなもので覆われていてにおいもひどい。そして血痕のようなものも見える。
部屋全体の尋常ではない様子からして自分がとんでもない事件に巻き込まれたという予測がついた。
部屋から出て、リビングの方へ行ってみる・・
やはり錆と血痕のようなもので部屋全体が覆われてしまっているようだ。
窓を開けようとしてもまったくびくともしない・・
窓から出ることは不可能だと悟った。
「きゃぁ!!」
(なにこれ・・人!?)
壁に人の顔が埋め込まれたような不気味な壁だ・・
その横にも21人の人が死んでるような光景の不気味な絵・・
悪夢だ・・
自分がなぜこんな所に来たのかなんてどうでもよい。
今は逃げなければ・・!!
この部屋の出口らしいドアがあった。
「よかったぁ・・」
危機的状況から脱出できたという喜びがこみ上げ涙がこぼれる・・
ゆっくりとドアをひねる・・
(あっ・・開かない!!)
もう訳がわからなくなりガチャガチャとがむしゃらにドアノブをまわした。
今度はドアに体当たりしてみた。
もう無駄だとわかりつつもついあがいてしまうのが人間の性・・
必死に抵抗している中、後ろからくつくつと笑う声がした・・
「誰!?」
私はとっさに振り返る。
くすんだ金髪に緑の目・・そして忘れられない血のついた青いコートを着た青年が笑いながら立っていた。
片手に銃を持って・・
その瞬間なぜこの場所に来たのか、全てを私は思い出した