「あやつはどこに言ったのかのう〜。スープーよらしきものは見当たったか?」
スープの背に乗りながら桃をかじり太公望はいう。
「見あたらないっスよ〜御主人。でも珍しいっスね。仕事の休みが取れるなんて。最近みんな忙しいからみんな疲れがたまっていたっス。きっと差んもどっかで休んでいるに違いないっス。みんなが喜んでいる時、人一倍喜んでいたっスからねぇ〜 .さん・・」
そんな事をいいながら太公望とスープーはを探した。見あたらない・・
「久しぶりにの声が聞きたいのう・・」
つい思った言葉を口に出してしまった。
(聞かれてしまったかのう・・)
ちらりと見てみる。やはり・・
スープーは聞こえていたといわんばかりにため息をつきながらニヤニヤしていった。
「なんだ、やっぱりさんに会いたかっただけだったんスね。やっぱり・・だったっス。さんにどうしてもやってもらわないといけない事があるって
いうのはただの口実だったんスねェ〜。素直じゃないっス。春過ぎたジジィと思ってたけどやっぱり御主人も恋をするんスねぇ〜」
図星をいわれた太公望は顔を赤らめながら反撃した。
「人をからかうでな〜い!!打神鞭でたたくぞ〜」
軽く打神鞭を振り回して風を周りに起こしてみる。脅し成功・・
「わ〜っ。御主人危ないっス。もう言わないからやめるっス。」
「分かればよろしい」
太公望はフッと笑いながら打神鞭を懐におさめた。
「でも一言いわせてくださいっス・・食べながら話さないで欲しいっス。100万年の恋もきっとさめるっすよ・・」
「まだいうか」
1人の道士と1匹の霊獣が騒がしく西岐の上空を散策する。
の身に何が起こっているかも知らずに・・
そのころ西岐城の庭にて
「何でこんなことになっちゃったんだろ・・・」
望ちゃんのところにいくはずがなぜか顔見知りの男供に囲まれている。
「せっかくの休みさ。俺っちと修行するさ。」
と天化くん・・すでに剣を構えている。はぁ・・
「休みの日に修行ですか・・それもかまわないけど、僕とどっか行かないかい?むしろ師匠に紹介しに行きたいな」
次は楊ぜん。紹介ってどんなんですか・・・
「プリンちゃ〜ん。」
(変なのが来たよ・・・)
「よっ。!せっかくだし町で遊ぼうぜ。いい店できたんだぜ。」
抱きつきながらお誘いをする。姫発ちゃんらしい。
其の時の周りの空気の恐ろしさ・・姫発にこの世のものとは思えないほどの形相を向けているのが分かる・・怖くて見えないけど姫発ちゃんの緩められた手で分かった気がする。
はぁ〜どうしよう。望ちゃんのところにいくって言ったらどんなことになるか目にみえてるし・・いっそ誘いに乗るか・・う〜ん。助けて・・望ちゃん・・でも、正直に言っちゃえ!このままでいるわけにいかないし・・
「あのねっ!私、ぼうちゃ・・」
「悩む事ないさっ!」
「悩む事ないと思うんだけど」
「さっさといくぜっ!」
あぁ〜っ。遮られた・・
しかもまた姫発ちゃんの手が強くなっている。後ろから抱きすくめられてる状態だ。
やはり男の人だなぁとかんじさせられる一瞬・・逃げられそうにない・・
「私、望ちゃんに・・」
「いいかげんにするさ!あんたはいつも女の尻ばっかり追いかけて・・に触れて欲しくないさ。離すさっ!」
「君は、少々お仕置きが必要かなぁ?」
鋭い瞳で2人が一斉に姫発に襲い掛かる。いつもの戦いのときみたいに・・
「きゃっ!」
私は、バランスをくずして倒れてしまった。この体制かなり危険!!
姫発ちゃんの体の上に私が寝転び(こんな時でもしっかり抱いている。)そしてその上に天化がまたがり、更に楊ぜんが横からおなかの位置ぐらいで突っ伏している。
(胸じゃなくてよかったぁ〜。ふぅ)
「ちょっと重いよみんなっ。姫発ちゃんも離して!!」
今度こそ私は暴れた。
「結構いい眺めさ」
「えっと・・そのっ・・意外と胸あるんですね・・」
「抱き心地最高っ!!」
(なんなんですかこの人たち。さっきまでの殺気はどこへ・・。今度はセクハラですか。っていうか、いつ楊ぜん胸さわったのっ!!しかも外よ外!城の庭よっ!!昼間なのに)
「天化ちゃんも楊ぜんも姫発ちゃんもやめてっ〜!!変態っ!!」
そのころ太公望は
「なんか嫌な気がするのう・・まさかになにかあったか。一度城に戻るぞ。急げスープー。」
これは今考えると懸命な判断だったのう・・城に帰らずに彷徨っていたらきっとの身が危なかっただろう。
「御主人なんかすごい事になってるっス・・さんが・・」
見下ろすとそこには衝撃的な光景があった。は相変わらずもがいている・・
一番衝撃的だったのは姫発がを抱いている事だった。いつもの事だと今まで怒りを抑えて見逃していたが今回はそういうわけには行かなかった。
「あやつ、が起き上がれない事をいいことに寝ながら抱きかかえておる・・。クッククッ・・」
静かな怒りのオーラが太公望から発せられる。見た事のない太公望にスープーは恐怖した。
(本気で起こると怖いっスよ・・御主人〜)
スープはそれから先何もいう事はなかった。
「さて、どうしてやるかのう・・。いかんいかん。早くを助けねば・・」
野獣のいる危険な庭園化してしまった場所へ目にも止まらぬスピードで太公望とスープは進む。
のほうは相変わらずすごいことになっている。
(うっ・・苦しい。えっ!ちょっと)
今度は一斉にくすぐり出した。体が反応して目を瞑る。
「どうだ。参ったか。」
またあなたですか・・姫発・・
「あっ・・」
つい口から嬌声を出してしまった。恥ずかしい〜・・
もう嫌だと泣き出そうとしている自分がいる・・あれっ・・なんか静かになったんですけど・・
恐る恐る目を開ける・・そこには私の大切な人がいた・・
「望ちゃん・・」
つい抱きついてしまった。
「お〜よしよし。大丈夫だったかのう。もっと早く気づけばよかったんだが・・」
愛しい人のぬくもりに安堵をを覚え我慢できずに泣いてしまった。
「大丈夫なわけないじゃん。うわ〜ん。このままどうなっちゃうのかって・・ひっく・・」
望ちゃんは優しく私の肩をさすって慰めてくれる。
「このままじゃあれだのう・・このまま気分転換でどこか行くかのう」
私は、うなずいて返事を返した。
「先にスープーにのっておれ。すぐに行く」
先にスープーのところへ行った。スープーは興奮気味に慰めてくれた。
「大丈夫だったっスか〜!!何されたんスかっ!!きっとみんな欲求不満なんスよ・・」
もっともだと思った・・
私をそのはけ口にしないでほしいよ・
そのころ太公望は
「よくも手を出したな。後で覚えとくがよい・・」
3人は本気で怒っている師叔を見て驚いた。戦闘でもみたことがなかった。
怖い・・
3人の頭には同じ感情が過ぎっていた。
恐ろしい空気を残したまま太公望はさっていった。
「俺っち達、とんでもない人を怒らせてしまったようさ。」
「やりすぎたようだね。もともと僕はあんなことするつもりじゃ・・」
「殺される・・」
「もともと武王がいけないさ!」
「そうですよ!!」
「なんだとっ!!てめーらもよろこんでたくせに・・」
仲間割れ・・でもすぐにおさまった。今は師叔への恐怖のほうが先立っていた・・
「またせたのう・・どこへ行くかのう」
スープーに二人乗り。後ろから望ちゃんがしっかり抱きかかえてくれているので安心した。
「なぜあんなことになったのだ?」
「なんか3人同時にいろんな誘いを言ってきて・・それで・・いつのまにかあんなになってしまったの。」
混乱していてあまり思い出せなかった。
「はぁ・・。おぬしがはっきり断ればよい話ではないか・・」
「私。言ったもん。望ちゃんのところにいくって!!でも遮られて聞いてもらえなかった!!」 l
本当は何回も言えばよかったのだ。いえなかった自分に腹が立った。
「わしのところへか・・それはあやつらから逃げるための口実か・・それともわしに本当に会い来てくれたのか?のう・・?・・」
私は、そんな事をいきなり言われてびっくりした。でも思ってる事を口にした。きもちはハッキリ伝えなくちゃいけない。さっきの事でもうこりごりだった。
「会いにいくに決まってるじゃない。せっかくの休みだから2人で過ごしたかった。
ずっと聞いてない望ちゃんの声・・聞きたかった・・探してたんだよ。ずっと今日・・こんな事になっちゃったけど・・」
私はまた思い出して俯いた。
「わしものこと探しておった。見つけたと思ったら。あんな事になっておった・・」
「望ちゃんも探してくれてたの?」
「そうだ・・」
もし出会えてたら今頃2人で楽しく過ごせてたかなぁ思った。今も2人きり(スープーもいる)だけどこれじゃあ楽しく過ごすなんて無理だよ・・ため息が出た。
「正直、姫発には妬けたのう・・」
ぽつりと望ちゃんが言った。私は黙って彼が次に何を言うのかまった。
「いつものことをべたべた触っているだろう?いつもの癖だと思いながら我慢しておった。今日は・・許す事できんかった・・。わしは、まだお主のことをしっかり抱いたこともないのに・・」
支えられてる手がぎゅっときつくなる。でも望ちゃんだからすごく心地よくって・・もっと抱いていて欲しいと思った。
「望ちゃん私に触れたいと思う?」
「そりゃぁもちろん!!・・・あっスマン・・これじゃああやつらとおなじだのう」
望ちゃんは赤くなりながら言葉を訂正した。気遣ってくれるところがいかにも彼らしい。
「私の大切な人は望ちゃんだよ。私大切な人に触れられるのは嬉しいけどなぁ・・」
「ほんとかっ!!」
望ちゃんは未だに顔赤らめながら興奮気味に話す。
「じゃあ今度ゆっくり抱かせてもらうかのう。抱き枕の変わりになってもらうか。お楽しみはとっておくよ」
望ちゃんは後ろから私の頬に軽くキスをした。
私は、今すぐ彼の抱き枕になりたいと思ったりしてしまったり。でもせっかく彼が気遣ってくれてるのに今すぐ抱き枕にしていいよなんて品のないことは言えない。
その後、望ちゃんとスープーで西岐の町を楽しんだ。
そのよる、の部屋には3人の客が来た。
「悪かったさ・・許してさ。ほんとはあんなことするつもりじゃなかったさ。」
「許してください。私はあなたに嫌われたくない・・」
「!!悪かった。いつもの癖が・・」
3人同時に私に誤りに来たのだった。もう気持ちも落ち着いたし、自分も悪いのだから彼らを怒ることなんて出来なかった。
「大丈夫だよっ!気にしてないから。」
にっこりと安心できるようにいってあげた。
すると今度は3人は助けてくれと懇願するように私を見た。
「助けてくれさ。俺っち達、師叔にころされるさっ!!」
3人とも同じような事をハモるようにして口走った。
「えっ?何かしたの?だったら私が許してあげるよう望ちゃんに言っといてあげる」
よく分からないがただ事ではないみたいだし。
「今から行ってみるよ」
わたしは望ちゃんの元へ急いだ。
「心配さ。でも一応師叔にいってくれるみたいだけど・・」
「きっと大丈夫でしょう。彼女を信じましょう・・」
「ああ。が言えば太公望もゆるしてくれるにちがいないぜ。」
3人ともどっと疲れが出たかのように自室へ戻っていった。
「望ちゃん。入るよ。」
「かまわん」
中に入ると何やら望ちゃんは考え事をしているみたいだった。何かの計画書を書いてるみたいだった。
「さっき、天化君と楊ぜんと姫発ちゃんが誤りに来たんだ。よくわかんないけど許してあげてね・・望ちゃん。」
望ちゃんの手の動きが止まる。
「あやは、今日の事もう何ともおもっておらぬのか?」
「うん。確かにびっくりしたけど。もう平気。たまにはこういうことも起こるんだね」
「それならよいが。」
「うん。じゃあおやすみ。」
忙しそうだったから要件だけ伝えて部屋に戻った。わたしは疲れていたのですぐ寝付いてしまったらしくその後の記憶は途切れている。
一方、太公望は
「許せか。に言われたら許すしかないのう。しかしこれじゃあわしの腹の虫が好かん・・軽く仕返ししてやろうではないか。」
不気味な笑い声が部屋をこだました。
次の日の朝、
いつもいないはずの雲翔三姉妹がいた。
「今日は、私が食事当番になりましたの。太公望様たちはもう仕事へ出かけられましたわ。」
そう、雲翔たちは太公望に天化、楊ぜん、姫発の食事を作るようにといわれた。
「うそさ。この人たちが作る料理を食べたりしたら、おれっち・・」
「体が拒絶反応を起こしているようだよ・・・」
「やめてくれーっ!!」
3人は暴れた、しかし三姉妹の手にかかれば無意味。人間の骨やら得体の知れない動物の入ったぐつぐついった緑色のスープを無理やりに口にねじ込まれた・・
ギャ〜
三人の声が西岐に響く。
「何か聞こえなかった?望ちゃん・・そういえば、天化君も楊ぜんも姫発ちゃんもいないね。めずらしい。」
「きのせいじゃろ・・」
ぼうちゃんはふっと笑った。
3人は当分再起不能になった。二度とにてを出すまいと決めたのである。